平成29年分確定申告に向け年末に行いたい上場株・FX取引の節税対策とは?   平成29年分確定申告に向け年末に行いたい上場株・FX取引の節税対策とは?

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平成29年も終わりが近づいていますが、確定申告を行う方にとっては節税を考える期限が来たとも考えられます。

投資は絶対もうかるという保証が無く、リスクがあるために損失が発生した際の税制優遇を設けています。

赤字と黒字をうまく相殺して節税する方法があります。

プラスの所得に対して20.315%の所得税・住民税

上場株取引・FX取引から生じた所得は、いずれも分離課税の所得にあたります。

前者は譲渡所得、後者は雑所得という分類上の違いはありますが、いずれも所得に対し所得税15.315%・住民税5%がかかります。

所得税において総合課税の税率は課税所得に応じて増加しますが、分離課税の税率は一律であり、また住民税の税率は総合課税の10%より低く設定されています。

なお上場株取引においてNISA口座から生じる所得は非課税であり、一般口座もしくは特定口座から生じる所得には課税されます。

以下の上場株取引に関する説明は、課税される一般・特定口座から生じる所得・損失を対象とします。

損失は所得と相殺でき3年間繰越可能

損失が生じた場合は当然税金はかかりませんが、他の売買・決済取引で発生したプラスの所得と相殺でき、また相殺しきれなければ3年間の間に所得と相殺可能です。

例えば2017年3月のFX取引で80万円の損失、9月のFX取引で60万円の所得が発生した場合、2017年中は差し引き20万円の損失となって所得税・住民税はかからず、また確定申告を行うことにより2018年~2020年の所得と相殺できます。

なお上場株取引とFX取引をまたいでの相殺(FX取引での-と上場株取引の+など)はできません。

繰越損失が失効にならないよう益出し決済する

2014年に発生した損失は、2017年の所得から相殺しきれないと失効になります。

2014年に上場株取引で20万円の損失が発生していれば、2017年12月26日までに20万円以上の利益が発生しないと失効になる部分は出てきます。

なお12月26日までなのは、年内最終決済日が12月29日(12月30日・31日は土日のため決済日ではない)であり、上場株取引の場合注文が確定してから実際の入出金まで3営業日かかるからです。

なおFX取引に関しては、取扱会社により年内最終日が異なります。

繰越損失活用の上での注意点

繰越損失を失効にしないことも重要ですが、扶養親族のように合計所得金額38万円以内の要件がある場合は、繰越損失との相殺が裏目に出ることもあります。

2014年にFX取引で20万円の損失が発生し、2017年12月27日までにFXの決済で40万円の所得が発生した20歳・大学生のケースを考えます。

この他には、所得はないものとします。

この場合、差し引き20万円の所得になりますが、基礎控除(所得税38万円・住民税33万円)の範囲内なので所得税・住民税はかかりません。

しかし合計所得金額の計算にあたっては過去の繰越損失は控除できない(同じ年の損失であれば可)ため、合計所得金額40万円となって38万円以内の要件から外れ扶養控除の対象とはなりません。

合計所得金額を判定基準とした制度を活用する際には、相殺前の所得に注意する必要があります。

逆に損出しも有効

11月までにすでに株式の売却益80万円出ていますが、持っているS社上場株式が値下がりして60万円の損失を抱えているような場合、12月26日までにS社株式を売却して損出しすることも節税対策にはなります。

80万円の売却益に対しては所得税122,520円、住民税40,000円がかかり、源泉徴収ありの特定口座で取引していれば11月までに金融機関に徴収されています。

60万円の損失だけ相殺されれば所得税91,890円、住民税30,000円が引き下げられ、20万円に対する所得税30,630円、住民税10,000円に抑えられます。

源泉徴収ありの特定口座であれば、損失が発生した際に口座内で所得税91,890円、住民税30,000円が還付され、それ以外の口座であれば確定申告により所得税30,600円(100円未満切り捨て)、住民税10,000円を納めることになります。

 

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