ふるさと納税が「住民税の2割まで」は本当か?適切な納税額をシミュレーションしてみた   ふるさと納税が「住民税の2割まで」は本当か?適切な納税額をシミュレーションしてみた

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ふるさと納税をする際の目安としてよく言われているのが「住民税額の2割まで」というものです。

「住民税額の2割」までとして考えると、普通に解釈すれば、平成28年に10万円の住民税を払っているのであれば、それを基に平成29年のふるさと納税は、その2割にあたる2万円程度までできるだろうということになります。

しかし、一定の根拠がある話にせよ、実際は一律に「住民税の2割まで」と言えるものではありません。

今回は、ふるさと納税による所得税・住民税の減税額を、いくつかの所得を例にシミュレーションしてみました。

適切なふるさと納税額の計算方法

まず、ふるさと納税に関する所得税・住民税軽減額の計算は、下記のように大きく3つに分かれます。

所得税の寄付金控除による軽減額

(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率

ただし「ふるさと納税額」については、総所得金額等(各種所得の合計)×40%が上限です。

所得税率は課税所得が増えるにつれて、5.105%から45.945%まで増加します。

住民税の寄付金税額控除のうち基本控除分

(ふるさと納税額-2,000円)×10%

ただし「ふるさと納税額」については、総所得金額等×30%が上限です。

住民税の寄付金税額控除のうち特例控除分

(ふるさと納税額-2,000円)×(1-10%-所得税率)

ただし、住民税所得割額(税額控除は調整控除のみ差引後)の2割が上限です。

「住民税の2割が限度」というのは、特例控除分の上限に基づいていると言えますが、所得税の減税分や基本控除分については当てはまりません。

税率の高い高所得者ほど、ふるさと納税額は増やせる傾向にあります。

事例で見る

平成29年において下記のようなケースで、ふるさと納税を行った場合を考えます。

・ふるさと納税額:762,000円

・総所得金額等:給与所得2,000万円

・所得税率:40.84%

・調整控除差引後の住民税所得割額:1,900,000円

所得税・住民税の軽減額を計算すると、下記のようになります。

所得税の寄付金控除による軽減額

(762,000円―2,000円)×40.84%=310,384円

なお、762,000円<総所得金額等2,000万円×40%=800万円のため、ふるさと納税額は上限に達していません。

住民税の寄付金税額控除のうち基本控除分

(762,000円―2,000円)×10%=76,000円

なお、762,000円<2,000万円×30%=600万円のため、ふるさと納税額は上限に達していません。

住民税の寄付金税額控除のうち特例控除分

(762,000円―2,000円)×(1―10%―40.84%)=373,616円

なお、住民税所得割額190万円×20%=38万円をわずかに下回ります。

 

3つをあわせると、76万円です。ふるさと納税の額は762,000円ですから、自己負担は2,000円だけです。

76万円は、住民税所得割額190万円の2割どころか4割に相当します。

所得税率40.84%はかなりの高所得者になるのでこれはあくまでも一例ですが、所得の状況に応じて上限が変わることを理解してください。

ふるさと納税サイトでシミュレーションを!

各自治体の返礼品などが比較できる、ふるさと納税ポータルサイトとして、「ふるさとチョイス」「さとふる」などは有名ですが、いずれにもシミュレーションのページがあります。

「ふるさとチョイス」控除金額シミュレーション

「さとふる」控除上限額シミュレーション

「給与所得の源泉徴収票」や住民税の税額通知書などをもとに、給与収入や所得控除額、住民税所得割額などを入力し、ご自身の状況をもとにシミュレーションをした上で、どこまでふるさと納税に使えるか確認しましょう。

返礼品規制で本来の上限額を意識したほうがよくなる!?

ふるさと納税については、こちらも誤解の無いように気をつけてほしいのですが、上記の事例で言えば76万円の軽減額というのは、選択した自治体に762,000円を支払うことで得られるものです。

本来だったら約76万円の金額をお住いの自治体に払うべきところ、出身地など別の自治体に振り替えているので、その意味では損も得もないはずです。

返礼品目当てでふるさと納税を行う方も多いと思いますが、元々は都会に出てきた方などが、故郷の財政を助けることを促す目的で創設された制度です。

元々の趣旨に立ち返るため、総務省が返礼品の調達価格を寄付額の3割相当に抑えてもらうよう、各自治体に通達しています。

返礼品が得られるために節税になるという発想もありますが、返礼品規制により元を取るようなことは厳しくなってきます。

「住民税額の2割まで」にこだわって上限額を低く見積もるのは、損をしてしまう1つのパターンと言えますので、上限額をよく確認しておきましょう。

 

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