仮想通貨の取引・換金でもかかる税金の基本 仮想通貨の取引・換金でもかかる税金の基本
平成29年にビットコインをはじめとする仮想通貨のレートが急上昇してから、仮想通貨が良い意味でも悪い意味でも注目されるようになりました。
仮想通貨取引をされている方は、確定申告の上でどんな取り扱いになっているか知っておく必要があります。
目次
仮想通貨取引は総合課税の雑所得に該当する
確定申告を行ううえでの所得分類は、給与所得をはじめとして10種類に及びますが、仮想通貨取引はどの所得にあたるのでしょうか?
平成29年後半の段階で国税庁が、仮想通貨取引による所得は総合課税の雑所得に該当すると、タックスアンサーで公表しました。
FX取引は分離課税の雑所得
雑所得は他の9種類のどの所得にも該当しない「その他の所得」という意味あいが強いのですが、課税方式が総合課税にあたるものと、分離課税にあたるものがあります。
仮想通貨取引に類似するものとして、ドル・ユーロなど外国為替を対象としたFX取引がありますが、平成23年分までは総合課税の雑所得、平成24年分以降は扱いが変わり分離課税の雑所得に該当します。
分離課税の場合は、所得税率15%・住民税率5%と所得額に関わらず税率が固定されています。
最高税率は住民税とあわせ50%を超える
一方で仮想通貨取引のように総合課税の雑所得にあたる場合は、住民税率は10%と固定されているものの、所得税率は5%~45%と課税所得によって変わります。
課税所得=A | 所得税額 |
195万円以下 | A×5% |
195万円~330万円 | A×10%-97,500円 |
330万円~695万円 | A×20%-427,500円 |
695万円~900万円 | A×23%-636,000円 |
900万円~1,800万円 | A×33%-1,536,000円 |
1,800万円~4,000万円 | A×40%-2,796,000円 |
4,000万円~ | A×45%-4,796,000円 |
所得税・住民税をあわせた最高税率は55%となり、この場合は課税所得の半分以上を納税することになります。
損失の繰越や他所得との損益通算はできない
FX取引のような分離課税の雑所得や、上場株式等の譲渡所得では損失が出た後3年間の間に出た所得と相殺可能です。
例えば平成29年分の所得は、平成26年~28年に生じた損失と相殺できます。
しかし仮想通貨のように総合課税の雑所得に該当する場合は、このような損失の繰越は認められていません。
またこれはFX取引・株式取引と共通しますが、同じ年に発生した他の所得と相殺(損益通算)することもできません。
あくまでも、同じ種類の所得としか通算はできません。
雑所得内の内部通算はできる
ただ総合課税の雑所得は、該当するものが結構幅広く、同じ総合課税雑所得内の内部通算は可能です。
仮想通貨の損失以外に総合課税の雑所得がある場合は、損失を申告する意味があります。
例えば、公的年金収入、生命保険会社の個人年金保険、会社員が副業によって継続的に得た収入、(本職がライターの方以外の)原稿料が該当します。
例えば平成29年中に会社員が(副業で)メルカリ販売による所得60万円を得て、仮想通貨で30万円の損失を出したような場合は、総合課税の雑所得は30万円となります。
間接的な必要経費も計上しよう
仮想通貨取引の所得は通常、売却(円換金)による収入-購入費 により計算されます。
雑所得の場合は総合課税・分離課税を問わず、維持管理的・間接的な必要経費をさらに差し引くことができます。
仮想通貨取引に使用したコンピューター関連経費(本体購入代・修理代・電気代・通信費)、仮想通貨に関連する書籍・セミナーの費用を必要経費とすることが可能です。
円に換えた売却益以外にも課税される
仮想通貨を円に換えて利益確定するような取引以外でも、代表的なケースとして下記のような場合は課税されるので注意してください。
ビックカメラなどでの決済
ビックカメラなど仮想通貨で品物を買えるお店もありますが、決済した段階で仮想通貨を手放したことになり、課税対象となります。
ビットコインを1万円で買い、そのビットコイン全てを充当してビックカメラで2万円の品物を購入した場合は、2万円―1万円=1万円が総合課税の雑所得となります。
仮想通貨の交換
1万円で買ったビットコインを、1.5万円で別の仮想通貨に交換した場合も、1.5万円―1万円=5千円が総合課税の雑所得となります。
分岐は課税対象とならない
ビットコイン→ビットコインシルバーなど、交換で無く分岐した場合は課税対象とはなりません。
所得20万円以下の確定申告不要制度も知っておきたい
仮想通貨の所得がある場合は原則確定申告が必要ですが、勤務先で年末調整を行っているサラリーマンに関しては、仮想通貨の所得が20万円以下しかない場合、確定申告は不要となります。
ただしこの場合も、住民税の申告は必要となります。
仮想通貨取引による所得額の他、給与所得の源泉徴収票に記載された年収額や、各種保険料控除額・扶養等の人的控除額を住民税の申告書に記入することになります。
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