【Q&A】通勤時の交通費は確定申告で控除する方法とは?給与所得者の特定支出控除   【Q&A】通勤時の交通費は確定申告で控除する方法とは?給与所得者の特定支出控除

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【質問内容】

年金、給与所得があるものですが、通勤費が非課税扱いになっています。

ただ、通勤費の非課税分(24万円)のうち、実際には5.25万円を自己負担しており、
この部分は確定申告に計上できますか?

(質問者:櫨山 陶一さま)

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質問ありがとうございます。回答いたします。

結論から言いますと、サラリーマンの方などが負担した交通費を控除できる「給与所得者の特定支出控除」という制度があり、一定の条件を満たせば、控除されます。

ただ、今回の質問者さまの場合は、自己負担額5.5万円なので確定申告で控除をうけることができる可能性は低いです。
(理由は後述しています)

通勤時の交通費を控除するための条件

実際にかかった交通費(定期代、自動車のガソリン代など)から、「給与所得控除額の2分の1」をひいた額がこの給与所得者の特定支出控除の対象となります。

1年間で負担した交通費の合計 - 給与所得控除額の2分の1 = 特定支出控除される金額

 

平成29年の給与所得控除額

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40% もしくは、650,000円のどちらか大きい額
1,800,001円 ~ 3,600,000円 収入金額×30%+180,000円
3,600,001円 ~ 6,600,000円 収入金額×20%+540,000円
6,600,001円 ~ 10,000,000円 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,001円以上 2,200,000円(上限)

※平成28年以前は、年によって違います。

また、給与等の収入金額が660万円未満の場合は、上記の表にかかわらず、
こちらの所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)により給与所得の金額を求めます。

 

給与所得者の特定支出控除額の具体例

年収 650万円のサラリーマンが1年間で交通費90万円負担した場合

交通費90万円 - (給与所得控除額の半分 87万円)=特定支出控除 3万円

実際、90万円の交通費もなかなかありませんので、結構、適用されるのが厳しい制度だと感じますが、特定支出には、通勤時の交通費以外も認められますので、それらを合算して経費として計上できます。

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給与所得者の特定支出控除の対象となる経費とは?

さきほどの例のとおり、実際、通勤時の交通費だけでは、なかかな控除を受けるのは難しいのですが、
実は通勤費以外にも、「特定支出」とされているものがあり、経費として合計できます。

特定支出とされているもの

  1. 通勤に必要だと認められる支出(通勤費)・・・これまで説明したもの
  2. 転勤によって、転居する場合、それにともなって必要であると認められる支出(転居費)
  3. 職務上、必要な技術や知識を得るために受けた研修費(研修費)
  4. 職務上、必要な資格を取得するための支出(資格取得費)
  5. 単身赴任中、単身赴任先と自宅、勤務地での移動にかかる支出(帰宅旅費)
  6. 会社が証明した、職務遂行に必要な次の経費(勤務必要経費:合計で65万円まで)
    ①職務遂行上、必要となる書籍代(図書費)
    ②制服、作業服、事務服など、勤務場所で着用する衣服の購入費(衣服費)
    ③会社の取引先、仕入先などに対する接待や贈答品の購入などにかかる費用(接待交際費)

※具体的な申告の方法は、後述します。

 

交通費ほか、特定支出が控除されるための収入と経費早見表

1年間で負担した特定支出(合計) - 給与所得控除額の2分の1 = 特定支出控除される金額

さきほど、計算式と例をあげましたが、それぞれ収入ごとに、特定支出控除が適用される経費の金額が違います。

経費を合計して、上記の計算が面倒という方のために、100万円ごとの収入別に、いくら以上の交通費を負担していれば控除されるか、ざっくりと判断できる表を作りました。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
控除されるために必要な経費の金額
(この金額を超えた額が控除額になります)
180万円以下 経費 32.5万円以上
200万円 経費 39万円以上
300万円 経費 54万円以上
400万円 経費 67万円以上
500万円 経費 77万円以上
600万円 経費 87万円以上
700万円 経費 95万円以上
800万円 経費 100万円以上
900万円 経費 105万円以上
1000万円以上 経費 110万円以上

確定申告で特定支出控除を受けるために必要なこと

控除を受けるためには、確定申告時に、給与所得者の特定支出控除の制度が適用できる旨と経費の合計額を記載しなければいけません。

また、その支出が、会社での職務上、直接的に必要であり、経済的かつ合理的であることを会社が認めた、会社発行の証明書と、それぞれの支払明細書、領収書の添付が必要です。

例えば、通勤費の場合その通勤費が通勤として正当なものであることを証明するためには、通勤の経路、通勤方法、運賃、時間、距離などが合理的であるかどうか、というのを会社に認めてもらう必要があります。

たとえば、自家用車による通勤の場合の燃料費などは、もちろん仕事とは関係のないプライベートで使った分は含んではいけません。

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証明書は、通勤費、通勤費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、図書費、衣服費、交際費等、それぞれ別のテンプレートになっており、会社への証明書の発行依頼書と一緒になっていますので、下記の国税庁のホームページより、ダウンロードして印刷して使ってください。

国税庁ホームページ:給与所得者の特定支出控除に関する証明書の様式等の制定について(リンク)

通勤費の特定支出に関する証明の依頼書

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2 Responses to “【Q&A】通勤時の交通費は確定申告で控除する方法とは?給与所得者の特定支出控除”

  1. 中野都司 より:

    公務員ですが、月の交通費の手当が7万5千円で定期代が19万の場合手出しが11万5千円となります。
    単純計算で、年間の定期代が228万円で手出しが138万の場合は特定支出控除は受けられるでしょうか。
    給与等支払金額は900~1000万の間の場合です。
    よろしくお願いします。

  2. タカダヨウスケ より:

    特定支出(通勤費)の控除申請をしようと考えております。
    問題は、実際にかかった通勤費の「領収書」が全部そろっていないのですが、カード支払い明細で代用はできますでしょうか?
    また、定期券を購入せずに交通系ICカードで通勤していて、これについても個別の領収書が存在しません。Webから乗車実績明細(金額表示あり)は入手できますが、半年分しか記録がなく、つまり、9月以前の記録を入手できませんでした。
    ざっと計算して、交通費が80万、所得控除額*1/2が60万強になるので、本件の控除対象ではあると考えております。
    支払い明細についてアドバイスをいただければ幸いです。
    よろしくお願いいたします。

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