年末調整の住宅ローン控除で全額還付!でも医療費控除を確定申告する価値はある   年末調整の住宅ローン控除で全額還付!でも医療費控除を確定申告する価値はある

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住宅ローン控除を活用すると所得税の還付額が十万円単位になることも多く、また2年目以降は年末調整で申告することも可能です。

年末調整で所得税が全額還付になるケースも多いのですが、もうこれ以上還付が見込めないからと医療費控除が使えるのに申告しなかったとしたら、実は損なのです。

年末調整の住宅ローン控除のしくみ

初年度の住宅ローン控除の確定申告を行った後に、税務署から送付される住宅借入金等特別控除申告書に記載して勤務先に提出することにより、年末調整で住宅ローン控除を受けることができます。

住宅ローン残高の1%(平成20年以前居住開始の場合は例外あり)を所得税から差し引くことができますが

消費税8%での住宅購入:40万円

上記以外での住宅購入:20万円

と差し引く額に上限はあります。

年末調整住宅ローン控除の計算事例

・年収650万円(給与所得額466万円)

・所得控除額(社会保険料控除・基礎控除など)100万円

・年末時点でのローン残高4,000万円

・消費税8%時点での住宅購入

の場合、所得税の課税総所得金額は466万円―100万円=366万円、課税総所得金額に基づく所得税額は366万円×20%-427,500円=304,500円となります。

住宅ローン控除額は4,000万円×1%=40万円と所得税額304,500円を上回り、年末調整により所得税は全額還付となります。

住民税の住宅ローン控除のしくみ

上記計算事例のように住宅ローン控除額が所得税額を上回る場合は、残額を住民税から差し引くことが可能です。

ただしこちらも差し引く額には上限があり、所得税の課税総所得金額をAとして、

消費税8%での住宅購入:A×7%と136,500円のいずれか小さい額

上記以外での住宅購入:A×5%と97,500円のいずれか小さい額

となります。

住民税住宅ローン控除の計算事例

上記計算事例において、住民税の住宅ローン控除額も計算してみます。

なお住民税では、基礎控除額が所得税より5万円低いため所得控除額の合計は95万円となります。

所得税の課税総所得金額は366万円であり、366万円×7%=256,200円>136,500円のため、住民税の住宅ローン控除上限額は136,500円です。

しかし所得税の住宅ローン控除額40万円―所得税額304,500円=住宅ローン控除残額95,500円のため、この金額が住民税の住宅ローン控除額です。

住民税のうち所得に応じてかかる額(所得割)は、住民税の課税所得371万円×住民税率10%―調整控除2,500円―住宅ローン控除95,500円=273,000円となります。

なお住民税の税額計算においては、調整控除2,500円が差し引かれます。

医療費控除は住民税から差し引ける

上記の計算事例のように、所得税とは異なり住民税からは住宅ローン控除が丸々差し引けません。

課税所得の10%が住民税(所得割)額であり、住宅ローン控除がせいぜい課税所得の7%となれば、少なくとも3%分は住民税がかかってしまうことになります(上記の事例は3%を上回っています)。

残った住民税をさらに安くするためには、医療費控除を申告しておくのが良いです。

医療費控除の額(医療費の額―10万円または所得合計の5%)×(所得税率+住民税率)だけ安くなります。

例えば年間医療費の額が20万円の場合は、医療費控除額は20万円―10万円=10万円です。

課税総所得金額に基づく所得税額が366万円×20%-427,500円=284,500円と2万円下がり、その分住民税の住宅ローン控除額が115,500円と2万円上がります。

さらに医療費控除額10万円×住民税率10%=1万円住民税が引き下げとなり、あわせて3万円住民税が安くなります。

住民税申告でなく、所得税の確定申告が必要な理由

もっとも所得税の還付金が無く住民税が下がるのであれば、確定申告より記載事項が簡単な住民税申告でも良いように見えます。

しかし医療費控除は所得の額から差し引かれる所得控除であり、申告することで所得税の課税総所得金額及びそれに基づく(住宅ローン控除前の)所得税額は年末調整時点より下がります。

所得税の課税総所得金額・住宅ローン控除前の所得税額が、年末調整と確定申告で変わる場合は、確定申告が必要となるという理屈です。

還付金の無い医療費控除の申告は素っ気ないものですが、住民税のように目に見えにくい部分でお得ですので、確定申告を忘れないようにしましょう。

住民税の住宅ローン控除は、5月の住民税決定時までに確定申告していない場合は活用できません。

3月15日までの申告が望ましいですが、過ぎた場合でも5月に入らないうちには確定申告しておきましょう。

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2 Responses to “年末調整の住宅ローン控除で全額還付!でも医療費控除を確定申告する価値はある”

  1. ゆか より:

    初めまして。
    住宅ローン控除、医療費控除、ふるさと納税制度、iDeCoの併用の場合の質問です。
    年末調整で、住宅ローン控除とiDeCoの申請をして、所得税がゼロになりました。住宅ローン控除の残額が135000円以下なので、住民税から全額還付されると思います。(住民税は控除前は275000円くらいのはずです)
    そして、この度、医療費控除とふるさと納税の控除を確定申告します。
    質問はここで、本来なら所得税から控除される税額は控除されず、住民税から控除される分だけになりますか?
    それとも、確定申告することによって、年末調整済みの所得税も再計算されて減り、その分、住民税での控除が増えますか?

  2. 藤堂清美 より:

    会社員です、年末調整で2年目の住宅ローン控除の手続きをしました。
    還付金は、12月の給与に入るのですか?あるいは、翌年1月の給与ですか?

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